君の屋根に降りてゆくよ

最近見かけませんが昔は「天才ちびっ子大集合」みたいな番組をよくやっていました。暗算とか駅名とか民謡とか三味線とか色々出来る子が出てくるやつです。子供の頃そういうの見て、素直にすげえと思う反面、ケッ猿回しが…と蔑んだ目を送ったりしたものです。天才と呼ばれたことなど一度もない子供特有の、凹みながら羨ましがりながらの反応です。そしてだらりと時が過ぎ、自分も子をなした1997年、さる幼児番組で彼を見ました。ハッと目の覚めるようなハイトーンで歌い踊る彼を。若干9才にして大人が鼻歌で軽々しく歌えないような難しい曲を歌いこなしていました。まさに天才少年です。相当びっくりしました。びっくり人間登場です。ここまで来ると愛川欽也の管轄です。自分もいい大人になっていたこともあり、その少年を素直に、一点の曇りもなく「凄い」と思いました。ここまでになった少年の成長過程を想像し、勝手に色々と感動しました。しかし少年はしばらくして(数々の素晴らしい歌声を残し)姿を消しました。大変寂しく思いました。「変声期を迎える前に虚勢を迫られそれを拒否し消されたのだ」という恐ろしい噂もあながち信じられんこともないなと背中を冷たくしたものです。
しかし今年3月、変声期を経て彼が長い眠りから目覚めふたたびわたくしの屋根に降りてらっしゃいました。名前を本名に変えて。そしてまた改めて思いました。彼は天才だと。いやさ、びっくり人間だと。キンキンが肩を抱くよと。

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Free Style

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長い眠りだったとはいえ、彼はまだ17才です。これからねえちゃんの乳いっぱい揉んでいい歌を、いい喉を聴かせていただきたいものです。おかえりなさい、ダイチくん。