くるってる

曾我蕭白 (新潮日本美術文庫)

曾我蕭白 (新潮日本美術文庫)

狩野氏の蕭白評アンド年表、曾我蕭白の作品と解説が32点、カラーで紹介されています。小さなサイズなのにボリューミーなお得な本です。かなりノイジーで、かつ繊細な、キッツイ作品が紹介されています。解説が正直すぎてよかったです。「この屏風はそれ自体が"狂気"である」「はっきり言えば教化に使用するには刺激が強すぎるのである」「描く方も描く方だが、これを本堂内陣に飾る方も飾る方ではないか」「左隻左端に急いで付け加えられたほとんどなげやりなその落款」「このハゲタカのような鳳凰」「どこか神経がヒリヒリさせられる不安に満ちた」「死の臭いさえ感じられる」「狂気を冷徹に描ききった」などなど、根元は尊敬があるのですが、それにしたってすごいこと言うなあ…と。この解説を読んでカラー頁をガン見→作品のタイトルを心に刻む→生鑑賞したくなる→生鑑賞が叶ったとき大きな喜びを得られる と美術入門書としてとてもすばらしいと思います。解説の通りほんと「これはどういったご心境で…?」と半引きな気持ちを持ってしまうような作品ばかりで、蕭白の作品と生涯に大いに興味を持った次第です。一緒に買った奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)でそれらを掘り下げを今ワクワクと読んでおります。とにかく狂ってておもしろいです。京都で見たプライスコレクションにも蕭白作品が3点有ったので(うち1点はどうやら贋作らしいのですがプライス氏は「これおもろいからいいじゃん」と)来年名古屋で開催されるときにガン見してこようと思います。