江戸への憧れ

歌川国芳 (新潮日本美術文庫)

歌川国芳 (新潮日本美術文庫)

新潮日本美術文庫のトリコじかけの明け暮れでして、今回は歌川国芳を読みました。蘭学の解剖図にグッときたと思われるこの表紙の骸骨(「相馬の古内裏」)とか、裸体が重なり合って人の顔になってるお茶目なのとか、エキセントリックでダイナミックでえらいことです。色遣いがポップで全く埃くさくなく、古びて見えません。いなせな江戸っ子絵師の粋が集結、て感じの大変お得な画集です。解説に「美術史上に燦然と輝く優れた作品があるかと思えば、見るからにやっつけ仕事のような図も多くあり(署名はあるけど、弟子のも混じってる可能性あり)」とあり、そういうところもおもしろいなあと思いました。気持ちがアガらなかったから描かないよ、という鉄火肌の職人を想像します。クールです。